ドローンの仕事は本当にない?需要が増す分野と副業での始め方
- drone-plus
- 6月15日
- 読了時間: 15分
「ドローンの資格を取っても、仕事はないんじゃないか。」そう感じている方は少なくありません。
しかし実際には、空撮・農業・点検・測量・防災など、ドローンを必要とする現場は年々広がっています。
この記事では、ドローンの仕事が少ないと感じる原因を整理し、需要が拡大している分野の仕事内容と、副業から本業へとステップアップするための流れを解説します。
目次
ドローンの仕事が「ない」と感じる背景

免許を取得したのに仕事に結びつかない、という声をよく耳にします。
ここでは、その背景にある誤解と原因、そして市場の様子を解説します。
免許取得後にぶつかる現実と誤解
ドローンの国家資格を取得した後、多くの方が「思っていたより仕事が来ない」という壁にぶつかります。
この段階で感じる焦りの多くは、免許取得と仕事獲得を混同していることにあります。
自動車免許を取っても、それだけでタクシードライバーになれないのと同じく、ドローンの資格があるからといって、仕事を保証するものにはなりません。
また、空撮なら撮影構成や編集、点検なら報告書作成や安全管理、測量なら専用ソフトの理解など、現場で使える周辺スキルも必要です。
さらに「資格さえ取れば企業から声がかかる」という期待を持って取得に臨む方もいますが、国家資格は業務を行うにあたってのベースであり、現時点では資格保有者が自ら案件を開拓することがほとんどです。
スクールや講習を経て資格を手にしたあと、どう動くかの計画を立てていないことが、仕事がないという感覚につながっていることも多々あるでしょう。
仕事が少ないと感じる3つの原因
ドローンで仕事を得るのが難しいと感じる背景には、3つの原因があります。
1つ目は、競合の増加と差別化の難しさです。
国家資格制度が整備されて以来、資格保有者の数は増え続けています。
空撮や写真撮影など参入障壁が低い領域では、似たような経歴・スキルを持つ人材が競合となりやすく、ドローンを飛ばせるだけでは選ばれにくくなっています。
2つ目は、特定分野への知識不足です。
農業ドローンの案件を獲得するには農薬散布の知識が、点検業務では建築・土木の基礎知識が必要となることがあります。
操縦技術だけでなく、その分野の業務知識を持っているかどうかが、案件獲得に繋がることもあるでしょう。
3つ目は、自己発信・営業活動の不足です。
フリーランスや副業として活動する場合、ポートフォリオやSNS・マッチングサービスの活用など、能動的な発信がなければ案件には出会いにくい環境が見られます。
この他にも、都市部と地方で案件の種類や量が異なることや、単発案件が多く、継続契約に結びつくまで時間がかかることなどの理由も挙げられるでしょう。
市場全体の需要は拡大している
仕事がないと言われる一方で、日本のドローン市場は拡大傾向にあります。以下に需要が拡大している分野をまとめました。
国土交通省や経済産業省が主導するインフラ点検・物流・農業への活用推進に加え、2022年の航空法改正によってレベル4飛行(有人地帯での目視外飛行)が解禁されたことで、都市部での業務利用も可能になりつつあります。
調査会社による市場予測でも、ドローンの産業活用は今後も拡大が見込まれており、特に点検・測量・農業・物流の分野では、人手不足や安全対策の観点からドローン需要が高まっています。
つまり仕事がないのではなく、どこに需要があるかを知らない、あるいは需要のある分野に対応できるスキルや知識がまだ整っていない状況に近いと言えるでしょう。
市場の扉は開かれており、参入の仕方次第で仕事につなげることは十分に可能なのです。
ドローンを活用した仕事の種類と特徴

ドローンを活用した仕事は、空撮から産業用途まで幅広い分野に広がっています。
ここでは、代表的な仕事の概要と、本業・副業それぞれに向いている分野の特徴を解説します。
空撮・測量・点検・農業・物流の概要
ドローンを使った仕事は現在、主に5つの分野に分類できます。以下に各分野の概要をまとめましたのでご覧ください。
各分野によって必要な機体・資格・専門知識が異なるため、参入を検討する際は、自分の既存スキルや興味と照らし合わせながら絞り込むことが大切です。
以下の分野については別の記事で詳しく解説していますのでご覧ください。
本業として成立しやすい分野
ドローンの仕事を本業として成立させるには、単価・需要の安定性・参入のしやすさという、3つの軸で考えると良いでしょう。
現時点で本業として成立しやすいのは、測量・点検・農業の3分野です。
測量や点検においては、企業や行政との継続的な取引が見込めるうえ、1案件あたりの単価も空撮に比べて高い傾向にあるからです。
また、少子高齢化による人手不足が深刻な農業や、老朽化インフラの点検需要が高まる土木・建設分野では、ドローン操縦士への需要が構造的に続くと考えられます。
一方で、これらの分野に参入するには、操縦技術に加えて業務知識も必要なため、資格取得後も継続的に知識を深める姿勢が、本業として生き残るための条件となるでしょう。
副業から始めやすい案件の傾向
本業への移行を見据えながら、副業として動き始めるのは手堅い選択肢のひとつで、取り組みやすい分野は、空撮・映像制作です。
不動産の外観撮影や観光地のPR動画など、比較的小規模な案件がマッチングサービスやクラウドソーシングで流通しており、個人でも受注しやすい環境が整っています。
ただし空撮系の案件は、国土交通省が定める設計業務委託等技術者単価を無視した参入者が多く、単価が下がりやすい点は、念頭に置いておくとよいでしょう。
そのため、副業として実績を積みながら、撮影・編集スキルを磨いていくことが、案件単価を上げるうえで重要です。
また、農業ドローンの散布補助や点検業務の補助者として経験を積む方法もあります。
こうした現場への参加は直接の収益につながるだけでなく、その分野への理解を深める機会にもなります。
需要が急拡大している分野の具体的な仕事内容

ここでは、ドローンの仕事で需要が急拡大している林業・防災・インフラ点検の3分野を取り上げ、それぞれの仕事内容と参入に必要なことを解説します。
林業でのドローン活用と求められるスキル
日本の森林は国土の約3分の2を占めていますが、林業従事者の高齢化と人手不足が深刻で、従来の人力による作業には限界が生じています。
こうした課題を背景に、ドローンによる森林調査・種まき・農薬散布・資材輸送といった業務の導入が、官民双方から推進されています。
具体的な仕事としては、樹木の生育状況や病害虫の発生箇所を上空から撮影・記録する森林モニタリングや害獣調査、植林エリアへの種子散布、苗木搬送、斜面への農薬散布などです。
いずれも急峻な地形での飛行を伴うため、目視外飛行や長距離飛行において安定した操縦ができる技術が求められます。
また、林業関連の案件は自治体や森林組合との契約が多く、継続的な取引につながりやすい特徴があります。
農薬散布に必要な知識や、現場の地形・植生への理解を持っていることが、信頼を得るうえで大きな強みになるでしょう。
防災・災害対策分野での活躍事例
地震・土砂崩れ・水害などの災害現場では、人が立ち入れない場所の状況確認や要救助者の捜索にドローンが活用されており、自治体や消防・警察との連携による運用体制の整備が全国で進んでいます。
仕事としては、自治体や防災関連団体からの委託を受けて、防災訓練への参加や平時の操縦技術維持に協力したり、被災後の建物や道路の損傷状況を記録・報告したりする業務も増えています。
この分野で評価されるのは、赤外線カメラや夜間飛行への対応力、そして委託者からのオーダーに対して、安全運航を基とした判断力と操縦技術や、平時の訓練参加から協力機関の活動内容に伴走できる対応力が必要です。
国家資格に加えて目視内飛行や昼間飛行の限定変更を取得していると、対応できる業務の幅が広がります。
直接的な収益案件は限られる場合もありますが、自治体との関係構築という観点から、長期的なキャリアに寄与する分野です。
ただ、災害時に飛行させることが出来るのは、原則国や地方公共団体またはこれらから依頼を受けた者のみとなりますので、注意が必要です。
インフラ点検分野の案件と参入
橋梁・トンネル・送電線・太陽光パネルといったインフラ設備の点検は、ドローンの産業活用が実績を積んでいる分野のひとつです。
国土交通省が定める定期点検の義務化を背景に、老朽化する社会インフラの点検需要は今後も継続的に見込まれます。
案件の単価は空撮系と比べて高く、専門性が評価されやすいため、本業として安定した収益を目指す方に向いている分野です。
一方で、参入にはいくつかの障壁があります。
例えば、クライアントの多くは建設・電力・通信といった大手企業や官公庁であり、取引を始めるには実績や信頼の証明が求められます。
そのためフリーランスとしての個人参入よりも、団体に所属や協力し活動することも参入方法のひとつでしょう。
また、点検業務では近接飛行の技術や赤外線カメラの操作経験が重視されたり、撮影データを正確に読み取り、報告書としてまとめる能力も求められます。
ドローンを使った副業の始め方と案件獲得の流れ

ドローンを副業として始めるために大切なのは事前準備です。
ここでは、動き出す前に必要な準備と、実績ゼロから案件につなげるための流れを解説します。
副業として動く前に整えるべき準備
最初に確認したいのが、機体登録とドローン保険への加入です。
100g以上の機体を屋外で飛行させる場合、航空法に基づく機体登録は義務であり、未登録のまま業務を行うことは法令違反となります。
また、万が一の事故に備えた賠償責任保険への加入は、クライアントから信頼を得るうえでも欠かせない準備です。
ドローンの保険について詳しくは『ドローン保険の加入を検討するべき理由~リスク管理と賠償責任』をご覧ください。
次に、飛行申請への理解を深めておくことも重要です。
業務として飛行する場所や方法によっては、国土交通省への許可・承認申請が必要になります。
申請の知識がないまま案件を受けると、飛行当日に対応できない事態が生じることもあります。
この他にも、ポートフォリオの準備も早めに取り組んでおきたい点です。
自主撮影した映像や写真をまとめた作品集は、案件獲得の際にクライアントへ提示できる重要な材料になります。
実績がゼロの段階でも、練習を兼ねた撮影を積み重ねることで、少しずつ素材を揃えることができます。
国家資格と民間資格の活用場面の違い
ドローンの資格には国家資格(無人航空機操縦士)と民間資格があり、それぞれ評価される場面が異なります。以下に違いをまとめましたのでご覧ください。
国家資格は、2022年の航空法改正によって創設された公的な技能証明です。
取得することで、飛行許可・承認申請の一部が省略・簡略化されるメリットがあり、特定飛行を伴う業務案件での信頼性向上につながります。
自治体や大手企業との取引では、国家資格の保有が条件として求められるケースも増えています。
一方、民間資格はスクールや業界団体が独自に発行するもので、取得難易度や内容はさまざまです。
また、民間資格の取得課程で身につける実践的な飛行訓練は、操縦技術の底上げに寄与することもあります。
副業として動く段階では、国家資格の取得を優先しつつ、参入したい分野で評価される民間資格を追加で取得するのが実践的でしょう。
ドローンの資格についての詳細は「ドローンの国家資格は必要?一等・二等の違いや取得するメリットを解説」をご覧ください。
案件を獲得するための実績の作り方
実績がない状態から最初の案件を獲得するには、いくつかの入口があります。
一つ目は、クラウドソーシングやドローン専門のマッチングサービスを活用する方法です。
単価は低めの案件が多いですが、初期の実績づくりとクライアントとのやり取りに慣れる機会として活用できます。
受注した案件を丁寧にこなし、評価やレビューを積み重ねることが次の案件につながります。
二つ目は、地域の企業や農家・不動産会社などへの直接営業です。
「ドローンで撮影しませんか」と声をかけるだけでなく、「こういう課題をドローンで解決できます」という提案型のアプローチが効果的です。
初回は低単価や無償での撮影提供から始め、成果物を実績として活用する方法も考えられます。
三つ目は、フリーランスとして業界への登録や業界の勉強会・交流会への参加です。
同業者との横のつながりは、繁忙期の業務委託や協力依頼という形で仕事が生まれることがあります。
いずれの方法も、継続的な発信と関係構築が実績の積み上げには欠かせません。
仕事につながるスキルの磨き方と注意点

資格を取得した後、どのようにスキルを伸ばすかが仕事の質と収入に直結します。
ここでは、現場で差がつくスキルの種類と、参入前に知っておくべき注意点を解説します。
資格取得後に差がつくスキルの種類
仕事を受注するために積み上げるスキルの1つは、映像・画像の編集スキルです。
これは空撮系の案件で大きな差別化なります。
ドローンは「飛ばすもの」ではなく「撮るもの」という視点を持つことが重要で、撮影後のデータをどう仕上げるかがクライアントの満足度を左右します。
編集ソフトの操作に加え、構図や色調の知識を持つ操縦士は、撮影者だけをする操縦士との差が出やすいでしょう。
次に、専門分野の業務知識も重要です。
農薬散布であれば農薬の種類や散布量の計算、点検業務であれば建築基準法の基礎や損傷の見極め方といった知識が、クライアントとの信頼関係を築くうえで大切になります。
さらに、複数の機体・センサーへの対応力も大きな武器となります。
通常の可視光カメラに加え、赤外線カメラやマルチスペクトルカメラを扱える操縦士は、点検・農業分野での活躍の幅が広がります。
飛行申請への理解が現場での信頼につながる理由
ドローンの業務において、飛行申請や法規制への理解は操縦技術と同等、あるいはそれ以上に重要です。
特に企業や行政との取引では、飛行許可・承認の取得状況や飛行計画の通報といった手続きが適切に行われているかどうかが、契約の条件になることがあります。
申請の知識がない操縦士に業務を依頼すると、クライアント側が法的なリスクを負う可能性があるため、慎重に委託先を選ぶ傾向があるのです。
そのため、飛行申請の実務に精通していることは、ひとつの付加価値となります。
ドローンの法規制についての詳細は「【2026年最新】国土交通省が定めるドローンの規制と教則の要点」で解説しています。
よくある失敗と参入前に確認すべき点
ドローンで仕事を始めようとする方が陥りやすい失敗には、いくつかの共通したパターンがあります。
最も多いのが、収益化までの期間を短く見積もることです。
資格取得から最初の収益が発生するまでには、数か月から半年以上かかることも珍しくありません。
副業として始める場合は、本業の収入を維持しながら実績を積み上げる期間として捉えることが大切です。
次に、機材への過剰な初期投資にも注意が必要です。
最低限、自身が参入を望む業種に必要な機材を絞り込み、見合ったスキルを準備しておくことから始めると良いでしょう。
機材が揃っていないと、そもそもスキルも磨けないですし、オーダーも獲得できません。
しかし高性能な機体や複数のカメラを揃えてから動き始めようとすると、実績がないまま固定費だけがかさむ状況になりかねません。
最初は先行業者との協業やレンタル機材を活用し、受注の見通しが立ってから必要な機材を揃えることも選択肢の一つです。
また、特定分野に絞らず広く案件を受けることも、専門性が身につきにくくなる原因になります。
例えば、最初から農業系に強い操縦士、点検業務に特化した操縦士といった軸を持つことで、クライアントに選ばれやすくなり、単価交渉にも有利に働きます。
ドローンで仕事を得るための共通点
ドローンで仕事を得ている人には、いくつかの共通した行動パターンがあります。
資格取得をゴールではなくスタートとして捉え、参入する分野を早い段階で絞り込み、操縦技術と業務知識を並行して磨いてきた点が、代表的なものです。
また、ドローンを飛ばすこと以外の付加価値も持っています。
例えば映像編集のスキル、業務知識、飛行申請への対応力といった要素を組み合わせることで、クライアントから選ばれる存在になっています。
特定の分野に軸を持ち、その領域での専門家として認知されることが、案件の継続と単価向上につながっています。
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